※先の、8月30日の事件に関する記事が、9月10日発売の月刊「救援」(救援連絡センター発行)に掲載されました。この度、「救援」編集部の許可を得て、本文を全文、当ホームページに転載させて頂きます。救援連絡センターの皆様を始め、関係各所からの多大なるご支援に、この場を借りて、改めて厚く御礼申し上げます。(M)

 
朝、奴等がやって来た

池袋のシェアスペースでデッチ上げ「組対法」弾圧

8月30日(金)の朝、私たちの運営しているシェアスペース・りべるたんに公安警察による強制的な家宅捜索が行われました。「Aはいるか!? Aを出せ!!」――突然、近所にも響くような大声を上げながら、ドアを激しく叩き、10人以上の公安警察官がりべるたんの中に押し入ってきました。私たちが要件や礼状を訪ねても容易に答えようとはせず、一方的な恫喝と強制力を行使し、りべるたんの住人であり私たちの仲間、A君を連行して行きました。その時言い渡された容疑は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」の違反――いわゆる「組対法」と呼ばれるものでした。私たちには正に寝耳に水といった状態で、一体警察が何を言っているのかも分からぬまま、平日の穏やかな午前中、近所にも響く大声で恫喝され、家を荒らし回られ、友人を誘拐されてしまいました。同日、A君が働く同じ池袋にあるお店、科学喫茶コペルニクスにも家宅捜索が入りました。その日たまたま居合わせた一般のゲストの中には、公安警察のあまりの恐ろしさに言葉を失い、震えている人たちも居りました。正に白昼の悪夢でした。

事実はこうでした。1ヵ月ほど前、A君は自転車に乗っているところ地元の警察官に防犯登録のチェックを受けました。その時A君が乗っていた自転車が盗難車であったことが分かり、A君はそのまま任意同行で取り調べを受けました。しかしその自転車はA君が知人から譲り受けたものであり、盗難車であったことをA君も知らなかったため、その日はそのまま帰されました。そしてそれから約1ヵ月後、事件の担当は当初の地域課から警備課(公安警察)にいつの間にか切り替わり、A君は「組対法」違反の嫌疑で逮捕されました。組対法とは、犯罪が組織団体の収益を目的として組織的に行われた事を処罰する法律で、主に暴力団などに適用される特殊な法律です。つまり、警察はA君が盗難自転車に乗っていたことから、「りべるたん・コペルニクスという団体は自転車窃盗によって収益を賄っている犯罪組織である」という荒唐無稽な容疑をでっちあげ、強制的な家宅捜索に乗り出たのです。

当然、そのようなことは事実無根であり、調べたところで証拠などあるはずが無いわけですから、A君はたった3日勾留されただけですぐ解放(検事釈放)されました。なぜこのような理解不能の嫌疑で警察はA君を連行し、家宅捜索を強行したのか。それはおそらく、微罪を理由にりべるたん・コペルニクス関係者を尋問し、そこから内部の事情や人間関係などを調査することを目的とした一種の嫌がらせ――いわゆる「弾圧」であると考えられます。りべるたんは“あたりさわりのある”シェアスペースを標榜していることから、右翼・左翼問わず様々な政治活動・社会運動にコミットしている人が集まります。中には、権力から過激派と既定されるようなタイプの人もやってきます。そのような人々の動きを常日頃から監視・弾圧しようとしている公安警察にとってりべるたんは、正に格好の餌であったと考えられます。これは私たちの被害妄想などではない。事実、家宅捜索・取り調べを取り仕切ったのは全て公安警察でした。

私たち、りべるたん・コペルニクス関係者一同は、今回の公安警察による不当な弾圧に対し強く憤り、これにはっきりと抗議します。特に今回逮捕されたA君、彼は政治運動に深くコミットしているようないわゆる活動家ではなく、温和で心優しい、パジャマの似合う科学喫茶コペルニクスの店長さんでした。そんな彼を敢えてターゲットにし、その温和な性格に付け込もうとした公安警察の手口の卑劣さには、腸が煮えくりかえる思いです。

確かに私たちは、コミュニティスペースというその性質上、エキセントリックで危なっかしい若者が集まりやすい場所であるというのは事実だと思います。しかしだからといって、権力によって監視され、あら探しされ、蹂躙されて良い理由などどこにも無いはずです。また今回の件は、特に政治色の強いスペースである、りべるたん・コペルニクスに限った問題ではないと思います。というのも、昨今の権力による常軌を逸した検閲・弾圧の苛烈化を鑑みると、「若者が権力の目の届かないところで集まっている」という理由だけで、全国のコミュニティースペースやシェアハウス等が同様の弾圧に晒される可能性は、非常に現実味のあるものだと思われるからです。従って私たちは、今回の不当な逮捕に対して徹底的な抗議の意を示すとともに、私たちと同じように、全国でオルタナティヴな活動を試みている全ての仲間たちに向けて、事件の周知と一層の警戒を呼び掛けたいと思います。(シェアスペース池袋りべるたん・科学喫茶コペルニクス)

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